三方行成「トランスヒューマンガンマ線バースト童話集」の感想

SF 小説しか読みたくないといつも思っています。それも、人間の頭脳が常にネットワークと繋がっているとか、意識をネットワーク上にアップロードするとか、死後に人間の人格をネットワーク上に再現する…と言った、 脳とコンピューターの境目が曖昧な設定の物しか読みたくないと思っています。

いにしえの時まだ私の脳がフレッシュだった頃、グレッグ・イーガンの小説を読みふけったことが元になっています。 「ディアスポラ」「万物理論」などを、難しくて途中で寝落ちしながらも夢中になって読んでいました。

それから数万年が経ち、今では私の脳はすっかりスカスカになってしまっています。 グレッグ・イーガンはすでに難しすぎて歯が立たなくなってしまいました。 しかし、イーガン的なハード SF を求める気持ちは変わりませんでした。

ちょうどいい難易度で私好みの小説を求め、つかいまこと「棄種たちの冬」 、 野崎まど「know」などを読みました。なかなか面白かったのですが、ちょっと物足りない感じがしていました。 (この2作品は、正直恋愛的な描写の雑さが気に入りません)

そこでこの、三方行成「トランスヒューマンガンマ線バースト童話集」です。

これは偶然ツイッターで見つけた小説なのですが、読んでみたら、この小説こそ私にとってちょうどいい小説なのでした。

  • ちょうどいい難しさと萎えさせない程度のわかりやすさがあり、いい塩梅。
  • 馴染みのある童話を元にした作品集なので、 作品のプロットはどれも分かりやすく、それでいて、SF を読むときに求める宇宙規模のスケール感があります。
  • また、作品集なので話によってハッピーエンドだったりバッドエンドだったりするのですが、それもまた良かった。 終わり方が気に入らないことで、小説の全体的な感想が変わってしまうことがあるので、色々な終わり方をすることで、いい感じに感想が平均化されたように思います。

そして私は思ったのですが、この小説があまりにもジャストフィットだったので、 もうこの類の小説は、そんなに読まなくてもいいかなとも思いました。この小説が私をグレッグ・イーガンの呪縛から解き放ってくれたのでした。